時のなかの赤い糸



「ねぇ坂本さん?喧嘩はよそでしてくれやし」



一人の遊女が坂本にすがりつく。



「喧嘩?せんせん。この二人は古くからの友達でなぁ」

「せやかて、近藤さん来てはるで?」



(((え)))



三人の頭の中に、少し不安が広がった。



「青貝の間にいてはるからー…そやなぁまぁ適当に一階の個室でええね?」


うんうんと頷く坂本。



「ほな今日は新選組の方も刀、預けて下さい」



遊女が両手をパッと差し出した。

喧嘩は本気でなしと言うことなのだろう。



遊女に刀を預けると、廊下に並ぶ襖を開けた。



「遊女さん、どないしはる?」

「いる「「いりません」」



1対2で、坂本はしょげながら部屋に入っていった。


「遥隣おいで」



坂本が自分の隣に座布団をおく。

永倉は遥の首根っこをつかんだ。



「遥は遊女じゃないんで」



ボッと遥の頬が熱くなる