奥に通されて、一番いい部屋に招待された



「だん花でございます」



綺麗な着物を着て正座して頭を下げた舞子さんは「だん花」と名乗った。



「あの時の舞子さん?」



ゆっくりだん花は顔を上げてニッコリ笑った。



「そうでございます」



あの時の蒼白な顔とは裏腹にだん花は一流の表情をしている。



「舞子やなくて、だん花は太夫なんでっせ?」

「あの時はそんな話し方じゃなかった」



遥が指摘するとだん花は黙りこんで隣で滝本が笑いだしていた。



「まぁ座ってください」



言われた通り遥も滝本もだん花の前に正座した。



正座したのは遥だけだが。



「こないだはほんにありがとうございました」



深々頭を下げただん花に遥がまじろむ。



「いやそんなっどーも」



またまた滝本は笑った。