「啓介様、ちょっと休憩せぇへん?歩き過ぎてもお足クタクタやわぁ」
昼も遠のいたというのに、山南と明里はずっと山を歩きづめだった。
「日が落ちるまでに峠は越えたいんだ」
山南が明里を急かすから、明里は頬をプクッと膨らませてその場に座り込んだ。
「お腹すいた。啓介様なんでそんなに急いでるん?」
「………もう少しすればご飯を食べるところがあるから、そこまで歩きましょう」
山南はしゃがんで明里と目線を合わした。
「啓介様。よぉ分からんけど急いでるんやね、わかった。うち歩くからね」
「ありがとう」
立ち上がった二人だったが、山南は遠くで沖田の姿を見つけた。
木々の間から見え隠れする沖田の姿。
(ここまでか……)
山南は大きく息を吸い込んで沖田に声を向けた。
「沖田くん!僕はここだよ」
「げっιなんで自分から」
沖田の心配も知ってか知らぬか、山南は笑顔で沖田に手を振っていた。