「とりあえず入って下さい」



女の子に病院の中に入って、遥はちゃっかり待合室の席に座ってる沖田を睨むと、沖田は苦笑いを浮かべ他所を向いた。




「女の方やのに大変ですねぇ」



顔の泥を落とすためにもらった手拭いで椅子に座りながら顔を拭くと、女の子はまたニッコリ笑った



(可愛い……!)




グイッと遥の着物の袖を引っ張られて沖田がゴソッと耳元で呟いた。



「名前聞いて下さいよ」




完全に使われてると顔をしかめるが、沖田はまったく知らん顔をしている。



「……名前なんて言うんですか?」



遥は渋々聞いてあげた。




「春と申します。あなたは?」



「遥です………でこっちが沖田総司」



紹介してください目線に負けた遥が苦笑いを醸しながら言った。



「春と遥って似てますね!」



春が嬉しそうに遥に笑って、沖田のことは完全無視。



ざまあみろと遥が鼻で笑った。