「遙はとっくに見つけたのよ。あるべき姿を」
「じゃあ永倉さんの生まれかわりの体は?」
「遙よ」
それじゃあまったく筋がとおらない。
しかめっ面の遥の喉に先生の指が触れた。
「心。取り戻してあげる」
先生が言ったとたんに、ずっしりと遥の体が重たくなった。
「わかる?心の重み」
サラサラと記憶と共に押し押せてくる感情が、遥の全身を駆け巡っていった。
全部思い出した。
足りなかった分全て。
「永倉くんに会いたいんでしょ?だけど私の話も聞いて」
先生にバレバレで遥は恥ずかしくなって俯いた。
「一度辿った歴史を遥ちゃんたちはもう一度歩むのだから、少しのズレはあるものよ。
だけどあえてまだ幕末にいてもらうわ。」
先生はニッコリ笑って遥を見据えた。
「そしてもう一度歴史を見送ってちょうだい」