時のなかの赤い糸



「小十郎くん」



「あ、遥」



縁側で日向ぼっこしていた小十郎が嬉しそうに遥に笑って見せた。



山崎が言っていた。



忍の力は、耳たぶの裏に隠してる葵珠をとると無くなるって。



「ま、俺はとられへんけどな」




なんて付け加えてたけど





「ねぇ耳かして?すっごい大朗報があるんだ……」




小十郎はちょっと目の色かえたけど頷いた。





「………小十郎くんって………………間者って事バレてるよ」




遥が言ったとたん小十郎はバッと構えの姿勢に入った。



「………あれ?!」




遥の手のひらで転がる葵珠。




「お願い小十郎くん。
小十郎くんは生きていて欲しいの

だから、もう江戸とかで静かに暮らしていて欲しい」



「遥………」




小十郎は一礼してその場から走って屯所を抜け出した。



手のひらの葵珠がやけに熱くて火傷しそう