時のなかの赤い糸



「遥、今どんな気持ち?」



「……幸せ。懐かしい感じがする」




遥の言葉に永倉は何かを期待している。




(どうか遥がこのまま記憶を取り戻してくれれば……)




しばらく遥と永倉は抱き合っていた。




「橘小十郎が間者です」




山崎が幹部に告げた。








「…………沖田。頼んだ」


「わかりました。」




記憶が繰り返された。



永倉が行ってしまう。

遥の感情にまた新なものが芽生えた。




広間に隣に座った永倉に、遥はキッと睨み付けた。




「また山に修行に行くつもりですか?」



遥に問われて永倉の頬に冷や汗が一筋流れた。




「…行かないよ」




永倉が少し微笑んで、遥は安心でため息を吐き出した。



(なんで安心したんだろ……)



遥に生まれてくる感情はどんどん濃くなっていったのだった。