「藤堂君……ですよね?」
距離をおいた遥の言い方に藤堂は戸惑いながら頷いた。
「休んじゃだめですか?」
「あ、ごめん疲れたよね」
藤堂にあしらわれて遥は愛想笑いを浮かべる
遥は藤堂に自室に案内されて休みをとった。
布団をかぶって目を開けたまま考えていた。
(何を思い出したらいいの?)
知らない世界に1人ぼっちになった気分。
「遥」
名前を呼ばれて遥の体が以上反応したように揺れた。
「は、はい」
「入ってもいいか?」
「どうぞ」
のそりと遥が体を起こすと、しょうじを開いて入って来たのは永倉だった。
「えっと、あなたは?」
記憶のない遥に分かるわけもなく首を傾げた。
「……永倉新八。」
ため息がちに永倉が遥の隣に座った。
「……聞いたことある。新選組の2番組長……教科書で読みましたよ」
遥は出来るだけ愛想を振り撒いた。
不安を隠す一番の手段だったから。