「坂本はんどすか?いらっしゃいますけど…ちょっとお待ちどうさん」




寺田屋に着くと、豪快な、それも江戸のおみつさんのようなお渡瀬が捲し立てた




「…は、はいι」



山崎も遥も永倉も、勢い負けして一歩下がってしまう始末。



しばらくしてお渡瀬が着物走りで3人の前に座った。



「いんでくれやし」



ポカンと口を開ける永倉と遥。



「なんでや」



山崎が不機嫌そうな声を出した。



「と、おっしゃりたいところですか、坂本はんがいいゆうてはりました。

変な騒ぎは起こされへんよぉそこんとこ頼みまっせ」



お渡瀬に続いて遥、永倉、山崎が階段を上がっていった。



「おいでになされましたよ」



「おう、はいれーにゃ」




しょうじの間から聞こえたのは確かに遙の声だったのだが、また陽気な話し方だった。



「久しぶりやのぉ。懐かしいなぁ」



永倉も遥も、遙のかわりぶりにあんぐりと口を開いた。