時のなかの赤い糸



「あーー!もうっわかんねぇ!
ていうか痛かったよな悪い!」



耳元で捲し立てられて遥は訳もわからず呆然としていた。



「山崎の部屋、行き過ぎ」


クッと見据えられた永倉の瞳が不安な瞳いっぱいで、眉なんて凄く下がっていた。



「……ごめんなさい」



遥はどうしていいか分からなくて俯いた。



「山崎の方が、好きか?」



切ない永倉の声に遥は顔を上げて首を横に振った。



「山崎さんは友達です」



永倉はどうも府に落ちない表情を浮かべた



「…………」



「永倉さん……?」





永倉の瞳は、遥の視線からそれて遥の首筋にいった。



遥の首筋にくっきり写し出されたキスマーク。



これは永倉以外の男、山崎がつけたものだった。



「……ひゃぁ」




ッチュと、音をたてて永倉の唇がそのキスマークを被せるように遥の肌に吸い付いた。




(山崎のやつ……)




永倉だって山崎の気持ちは気付いていた訳だから、同じ気持ちを抱いた同士、どーすることも出来なかった。