「遥?」
ヒョコッと庭の木の影から小十郎が覗いた。
「小十郎くん!」
あんなに嫌な思いをした遥なのに、どうしても友達の絆が大きくて顔を見た途端に許してしまいそうになった。
「山崎さんが呼んでたよ?」
小十郎に言われて、遥は山崎の部屋に駆けていった。
残された小十郎と永倉は終始無言で目を合わせていた。
「お前綾野の事好きなんだろ?」
口を開いた永倉はいきなり喧嘩腰。
「………好きです」
「山崎さん」
山崎の自室を訪れた遥は、真っ暗な怪しげな部屋に足を踏み入れた。
「あ、遥。久しぶり」
「え?」
山崎に言われて遥の思考回路が止まった。
「言ったろ?俺は忍だ
お前が未来から戻って来てることなんて分かってるし、今この状況がどーゆーことかだってわかってる」
「今の状況?」
自室に座って目線を全く分からない所に向ける山崎に遥は問した。