遥が静かに近藤の部屋に現れて、中にいた近藤と土方と山南が少し気まずそうに遥を見上げた。




「おはよう綾野。」

「おはようございます」




3人の前に座った遥はゆっくり息をすって笑って見せた。




「………永倉さんが……………」




永倉の名前を口に出したとたんに遥の体はガタガタと震えだして涙が溢れ出した。




「綾野……っ」




土方が遥の肩をさすって落ちつかせる。
この、近藤、土方、山南は昨夜、最後に永倉に会っていた。




永倉は、遥に別れを告げたあと、近藤の部屋に向かい、新撰組を抜けることを告げたのだった。




『父が倒れて、母はいないので、まだ幼い妹や弟をほおってはおけません。

それに、愛する人も守れない………
これから、父の容態が良くなるまで山奥の知り合いの寺社のもとで置かせてもらいます。

それに、俺もついていこうと思います。

だから…………綾野をお願いします』




一方的に永倉はそれだけ告げると屯所を後にしたそうだ。




近藤たちも止めたのだが、永倉は聞こうとしなかったらしい。