中の布団には、目を閉じて眠る永倉の姿があって、腹から胸にかけて包帯グルグル状態だ。




遥がゆっくり近付いていくと、永倉の手を握った。



「………」



ただただずっとそうしていた。




山崎の自室が救護所なので、永倉の隣で手を握りながら眠る遥に布団をかけて外に出ていった。




(永倉はんの部屋で寝よかな)




山崎は永倉の部屋に消えた。




救護所のほうにいる永倉は、山崎が出ていったので目をパチリと開けて上半身を起こすと、ゆっくり手を離した。




「ごめんな、綾野。
愛してる」




遥が次に目覚めた頃には、永倉の姿は屯所にはなかった。



朝陽の中、一筋の涙が遥の頬に流れる。



枕元に置かれていた手紙は、永倉のもので、内容は信じたくないものだった。