こんな歴史上のすごい人物の中にあたしなんかがいたら駄目な気がしたからだ。
遥はしょうじを開けて部屋を出ると、屯所の外に駆け出した。
「あっ!綾野!」
永倉が止めるなか、土方は「ほっておけばいい」と言った様子で
「夜に綾野さん1人では危ない!
早く連れてこねば」
と、近藤が指図して、直ぐに永倉が走り出した。
走る綾野を、後ろから追いかけた永倉は思いの外早く追い付いて、すぐに手を掴んだ。
「危ないだろ…!?」
ちっとも息をきらさない永倉にたいして、はぁはぁと息を荒げた遥は何も言えなかった。
「おいっ!きいてんのか?」
「………聞いてるよ!
………息、整えてんの!」
遥が声を上げると、永倉は目を真ん丸にした。