それから遥は無理矢理酒を飲まされて、酔ったまま意識をなくした。




「綾野―…」



名前を呼ぶ声に、うっすらとしていた意識が鮮明になって目を開けた。




ビクッと体が拒否反応を起こした。



「……小十郎くん……」




さっきの広間にいるわけで、遥はゆっくり座ったまま後退っていく。




「……ごめん、お願いだから
嫌いにならないでほしい」



ふと下をむいた小十郎に、楽しかった時のことを思い出してしまった。




女の子どうしみたいに笑いあって、
一緒に戦って……………




それが全部嘘みたいに
急に小十郎が男に感じてしまったんだ。




「もぉ……無理だよ…」




遥の声が虚しく二人しかいない広間に響いて消えた。