遥はギュッと目をつむって顎をひくと、グイッと顎をもたれて唇がかさなった。
「いやぁっ」
遥が声をあげると、小十郎の唇から血がにじみ、もう一度唇を重ねて、今度は遥の頭を固定すると、深い絡まる接吻をかわす。
「んン……っ」
体の動かない遥になすべきものはなく、ただ言いなりになることしかできない。
(やめて……永倉さん助けて……)
遥の目から一粒の涙が流れた時、しょうじが開いて小十郎がばっと離れた。
「何してる小十郎」
広間に入ってきたのは、土方くらいの歳の男だった。
片手には酒をもう一方には刀を。
遥と小十郎に近付くと、二人の顔を見てニヤリと笑うと遥の唇を親指で拭いた。
「血、ついてんぞ」
「んっ」

