「……綾野っ」
はっと振り替えると、背後に刀を振りかざす武士がいて、とっさに2番隊員の小十郎が守りにはいった。
「…ありがとう、小十郎くん」
小十郎は優しく微笑むと、刀をしまった。
「今ので終わりだよ」
池田屋の町全焼計画は、新撰組によって守られた。
ぞろぞろと池田屋を後にする新撰組たち、遥も並んで外に出ると、永倉に手を掴まれた。
「……顔…」
あっと遥は血を拭き取ると、苦笑いを浮かべた。
「綾野って案外強いんな」
「え?」
永倉が、遥のふきわすれた血を親指でとると、安心したような声を漏らした。
「あ、でも最後は小十郎くんに助けてもらいました」
永倉は、遥の様子を見て「小十郎か」と呟いた。