「結局、夏音ちゃんの衣装切った犯人って誰なの」
夏音は麗から離れ、また教室の前方に戻る。
黒板に描かれた、必要ないと思われる落書きを消すと、チョークを手に取った。
「破かれた衣装を発見するまでのこと、教えて?」
夏音に言われ、衣装係が説明する。
「夏音ちゃん以外のみんな衣装合わせが終わって、私たちもみんなの手伝いをしよっかって、衣装を片付けてこっちに戻ってきたの。衣装を置いてたところには、誰もいなくなった」
「だけど、十分後……くらいだったかな。桃城くんに夏音ちゃんの衣装を貸してって言われて、取りに行ったら……」
「切られた衣装を見つけた、と……」
箇条書きで黒板にまとめていく夏音の姿は、とても頼もしかった。
「みんなが衣装から目を離して発見するまでが十分……誰がやったか誰も見てない……うーちゃんを疑ったのは、うーちゃんがノンを嫌ってると思ったからってだけ?」
それは怒っていると言うより、確認という感じだった。
主に話していた二人が顔を合わせる。
「藤宮さんが衣装を返したところ、誰も見てなくて……」
「なるほど……誰もいない間にうーちゃんが衣装を戻しに来て、そのときにやったんじゃないかって思ったんだね」
戸惑いながら頷く。



