他の女性社員が不思議そうな顔をした。

「美香さん、どうしたんですか。あの早坂さんって人が何か」



美香は眉をちょっとひそめる。

「メールで回って来た、その人の肩書きを見た? 『健康食品事業部付き』なんてなってるのよ」

「あ、そう言えばそうですね」

他の同僚が言った。亜矢はただうなづいているだけだ。



美香が首を振りながら言う。

「事業部付き、なんて言うのは珍しいのよ。何とか付き、って言うのは何か特別な場合とか、短期的な場合にあるらしい、って聞いたことがあるけどね」



他の女子社員には馴染みのないことなので、皆、困惑した顔つきをしている。



美香は笑った。

「ま、いいか。うちの課に来るわけじゃないしね」



亜矢はまた早坂のことが気になった。

あのどこかで見た瞳…

しかも「事業部付き」と言う、よくわからない肩書き…



そのモヤモヤは一日中、亜矢の胸から消えなかった。