「おはよう、日和」
すると、悠真くんが登校したのか鞄を持ったまま私の側までやって来た。
「……あ、おはよう」
途端に心臓がバクバクなり始めて、自分でもあり得ないくらい平常心でいられなくなる。
悠真くんがいつも以上にカッコよく見える……。
これが"恋の病"の一種なのかな。
好きな人だなんて小学生以来だ。
しかし、子どもじみた恋愛だったから、こういう誰かに恋焦がれるという想いは初めてだった。
悠真くんと目が合って、小さく手話で『おはよう』って言って、人差し指を自分の唇に当てた。
まるでふたりだけの言語のように。
私たちだけの特別な会話だよでも言うように、妖艶に笑う悠真くん。
「……っ」
恋した私からすれば、それは心臓を貫く行為と言っても過言ではない。



