「───だよね」
「そうそう、ここの──カフェの──が美味しいって評判なんだって」
カフェ、評判……お菓子の話かな。
全部は聞き取れず、どんな話題なのか推測する。
最近わかったこと。
ふたりはケーキとかの甘いものが大好きなようで、そこから意気投合して友達になったみたい。
それで私も夏休みに入る前、一緒にカフェで新作のイチゴカスタードケーキを食べたんだ。
すごく美味しかったな、また行きたいな。
ふたりは何かに笑ったみたいだから、私も合わせて笑う。
「……」
正直、話したい。
何に笑ってるのか、分からない自分に気づいて欲しい。
と思う一方で
耳が聞こえないことでまたひとりになってしまったら……?
前まではひとりでも大丈夫だったのに、人はどうして何度裏切られても信じたい、諦めないんだろう。
どうして友達を失うことに怖いと思うんだろう。



