頭をぶんぶん振って気を取り直す頃には既に教室の前にいて、中へ進むとまだ悠真くんの姿は見えなかった。
ホッと一息ついたら
「ひーよりちゃん!」
「……! わあ!!」
突然後ろから肩をポンと叩かれて、思わず声を上げた。
後ろを振り返れば、にんまりして笑う麗奈ちゃんと苦笑いしている百香ちゃんがいた。
「日和ったらいくら呼んでも振り返らないから、無視されてるのかと思っちゃったじゃん!」
「あ、えっと……」
今、なんて言ったんだろう……ところどころしか読み取れなくて、麗奈ちゃんの言うことが理解できずにいる。
ふたりには耳が聞こえないことはまだ話していない。
いつか話したいと思ってるけど……言えずじまいでいるんだ。



