それってつまり……私……。


いくら心の中で否定しても、それ以上に溢れてしまった。



「……っ」



もう花火見る余裕なんかなかった。


新たな感情を自覚した自分がそこにいて、混乱して、嬉しくなって。



自覚した途端に、私はさらにドキドキと緊張が増していったのだった。



どうしよう……私、どんでもないものに気づいてしまった。



自覚してすぐに思い浮かぶことは"耳が聞こえない"という自分のことで。


私がこの気持ちを持っていると知ったら、きっと彼は困ってしまう。



だって彼は"耳が聞こえない"私に気を遣ってくれてるだけなんだから……っ。



ねえ、悠真くん。


どうして、私にキスをしようとしたの?



そう問いかけたい心と、問いかけたら離れてしまうという嫌な予感が頭の中で走りだして、口にすることはなかった。




*