どうやら幻じゃないみたい。
そっと悠真くんの浴衣の袖を掴んだら、ちゃんと感覚があった。
『早く日和に会いたかったから』
混乱する私にくすくす笑いながらそう言った悠真くん。
手話も使って伝えてくれた。
同じ気持ちだ、私も悠真くんに早く会いたいって思ってたから……嬉しい。
「私も早く会いたかった!」
満面の笑顔で言うと、悠真くんはそっぽ向いてしまった。
「悠真くん?」
私、何かしちゃったかな……?
顔を覗き込んでみると、そこには頰が赤くなった悠真くんがいて。
「いや、なんでも……ただ、日和の浴衣似合ってんなあって思っただけ」
そして手話で『似合ってる』と『可愛い』と赤くなりながらも伝えたのだ。
「……っ」
その言葉で一気に顔に熱が集まった。