昇降口が見えて、靴を履き替えてたら捕まってしまうと判断した私は上履きのまま、外に出た。
そんな非常識のことに一瞬彼は面食らったが、彼も私同様上履きのまま私を追いかけた。
走り続けていると最悪なことに、横断歩道で赤信号になってしまった。
……追いつかれる、絶対に。
それから私の予想通り彼は私のところへやって来た。
ここまできたら、バレないようにしなきゃ。
大丈夫、きっと私ならできる。
「……なんで私を追いかけた?」
彼は立ち止まって、顔を下に向けて呼吸を整えようと息を大きく吸い込んでは吐いている。
……きっとまだ私の問いには答えてないよね。
そう思ってしばらく待っていたが、彼は不思議そうに顔をあげて
「何も反応してくれないの?」と聞いてきた。



