今までひとりでお弁当を食べてきたので、とても新鮮だ。
「……」
それ故か、何を話せばいいのか分からなくて、沈黙の時間もあるが、それでも心地よかった。
黙々とお弁当を食べ、思ったより早く食べ終えた私たち。
そんな私たちにはとっておきの時間が待っている。
『今日の数学の先生面白かったよね』
『娘さんの話で半分は潰れちゃったよね』
『本当におめでたいよな』
『うんうん』
お弁当を片付けて、木陰で座る私たち。
そこで授業が始まる10分前までは、手話でお喋りするようになった。
分からないところは教わりながら、手話の本を見ながら話していた宮原くん。
2ヶ月経った今では、本が無くてもほとんど話せるようになった。