泣き止んで、黒板の字を消し始めた私たち。
その時、宮原くんの鞄が床に落ちてしまった。
中身も散らばってしまい、私も片付けるべく手伝うことに。
あ、これ……。
目にしたのは朝に宮原くんが持っていた本で、好奇心で本の中身を見たら、また嬉しくなった。
「宮原くん、ありがとう……」
何度もそのページを見たのだろう。
"友達"
という手話のページが一番最初に開かれたんだ。
宮原くんは私のために手話を覚えてくれたのだ。
「宮原くん」
手話の本を宮原くんに渡した。
本当にありがとう。
「これからもよろしくね、宮原くん」
──私はこの時、初めてあなたに笑顔を見せた。
ねえ、宮原くん。
私はあなたと友達になれてとても幸せだよ。
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