……だけど。


友達がほしいのもまた事実。


いつまでもジレンマで悩まされる。



宮原くんは耳が聞こえないと知っててでも友達になってほしいと言ってくれた。


それほど嬉しいことはない。



しかし、それがもし"偽物"だったら……?


もし私を陥れるための材料だったら……?


どこかで疑う気持ちも捨てきれなくて、友達にはとてもなれない。



すると宮原くんは鞄を置いた。


何かするのかな……と思いながらそれを眺める。



「ねえ宮原くん」



宮原くんは私を静かに見つめる。



「なんで、そんなに友達になりたいの?」



思い切って聞いてみることにした。