幾度願っただろう。
許されないことは分かってる。
だけど、もし許されるなら────
「よし、合格!」
「え、試験とかやってたの?」
「うん、そんな感じ」
手話検定試験準一級。
先生になるためには関係ないっちゃ関係ない過程だけど、俺にとっては必要な過程なのだ。
「そっかそろそろ本格的に始めないといけないんだな」
友人は教育学部ではないから知らないだろうけど、別に手話検定の資格がなくても先生にはなれる。
訂正するのが面倒になったから、俺は黙っておく。
日和に言ったから、手話検定受けるって。
日和に言ったことは有言実行したかったのだ。
たったそれだけの理由。
だけど、それは俺にとっては大切なことだった。



