先生に助けを求めて、見つめるけど目が合うことなんてなくて。
……なぜそんなに焦っているかというと
『日和、もし進級できないくらい成績が悪かったり、これ以上学校に行けないって判断したら支援学校に行ってちょうだい。
日和が誰よりも普通でありたいのはわかってるけど、お母さんは日和が学校で無理して笑顔を消すよりも、学校で笑ってて欲しいの』
本来両耳聴こえない人が普通の学校に行くのはありえない話だ。
一応この高校も、障害者を受け入れてるから入れたけど、実質障害を抱える生徒なんてここ数十年いないらしい。
だから、それ相応の制度は存在しないにも等しかった。
それでもし失敗した時に、逃げ道を作ってくれたお母さん。
だけど、私はなるべくそこには行きたくない。
……私だって元々耳が聴こえてた、ちゃんとした人間だったから。
支援学校に行ったら……自分が本当に耳が聴こえない障害者であることを認めなくちゃいけないんだ。



