「あのね、今回のことは許す許さないの話じゃないと思うんだ」
「え……?」
「確かに許さないって言って、麗奈ちゃんを責めることだって出来た。
だけど、それをしなかったのはね」
逃げることを"笑うために必要なこと"だと教えてくれたように、
優しさで誰かの陽だまりになって、笑顔になることができるように、
「いつかまたあなたと笑い合いたいって心のどこかでは望んでいるから」
「……!」
結局はそこだと思うんだ。
誰かを助けて「ありがとう」って笑顔で言う。
「ごめんね」の言葉に対して許したくないにしても、いつかは「もう過去のことだ」って笑い話にして。
一生関わりたくないなら話は別だけど、私は……麗奈ちゃんの優しさに触れて、もう一度笑いあえたらなって思ったんだ。
「誰だって恋したり笑う権利があると思うの」
「……っ」
麗奈ちゃんはまた温かいものを頰に伝った。
私は背を向けて、彼女が泣き止むまで空を見上げながら笑顔を浮かべていた。
*
*



