「うん、悠真くん、ちゃんと笑ったね」



小さな喜びを噛みしめて、頰を緩ませた私。




「─────して」



──え


目の前が真っ暗になる。



「ん……っ」



突然だった。


冷えた唇に熱いものが当たって、受け入れるとかそういう話ではなかった。


感情が追いつかなくて、どう反応すればいいのか分からずに、ただぼーっと立った。



……どうして?



雨で良かった。


涙を誤魔化せられる。



ファーストキスが、こんな時にやってくるなんて思わなかった。


花火大会のことが脳裏に過ぎる。



私はそれで悠真くんのことを……ああ、こんな時にまた自覚するなんて。