悠真くんにはメールで呼ぶことにした。
来ない可能性もあるけど、それでも最後だけは会いたかった。
なんて言おう、学校を辞めることは話してもいいのかな。
悠真くんは申し訳ないとか思っちゃうかな。
……言わないでおこう。
厳密には夏休みまでが私の在学期間だ。
だけどもう残りは少なかった。
「……」
ここ、中庭には数え切れないくらいの思い出があるね。
もう、ここに来ることはないね。
いつしか木の下で一緒にお昼ご飯を食べたね。
その木に近づいて、そっと触れる。
「……ありがとう」
そう呟いて、スマホで時間を確認すると、そろそろ指定の時間になるのを知る。
後ろを振り返ると、悠真くんはあの日と変わらない顔で立っていた。



