『辛かったね。私が想像できないくらい、頑張ってきたんだね』
「……うん」
『私は逃げとは思わない。
必要なことだと思うよ、このままじゃ誰も笑わないから』
……必要なこと。
本当にそうだろうか。
自分で言ったことなのに、分からなくなってくる。
『日和ちゃんの想い人が心から笑うためには必要なことだって思ったんでしょう?』
メモ用紙にそう書いてあった。
「大輔さんみたいにいじめられてもないのに……そんなの……」
「僕は関係ないよ」
大輔さんは口をしっかりと動かしてきっぱりと言った。
「僕だって逃げたんだ。でもさ、僕がこの先笑うためには必要なことだと思うようにしたんだ」
「笑う、ために……」
逃げることに対して、どこか抵抗があった。



