「……あ」
席は私がひとり、向こう側に杏奈ちゃんと大輔さんが並んで座っている。
杏奈ちゃんはメニューを閉じて、大輔さんと笑い合うと私の方を向いた。
そっか、サラッと言えるのもきっと杏奈ちゃんがいたからなんだろうな。
私もそういう人いてくれたら、良かったな。
『日和ちゃんは、いつも寂しそうに笑うの』
──え?
『初めて会った時もそうだった。
私はどうしてそんな顔をするのかなって思って』
寂しそうに笑ってる……?
私は、明るく振る舞ってるつもりだった。
あかりちゃんにだって、何も聞かれなかったし……。
『杏奈は人の表情を読み取るのが人一倍秀でてるんだ。君の力になりたいって俺に言ってきて、今回こうやって提案したんだよ』



