杏奈ちゃんの肩にそっと触れると、彼女は本を閉じて私に笑顔を向けた。
『今日はよろしくね』
「うん!」
……隣の人は誰だろう。
『紹介するね。私の彼氏なの』
「!?」
そ、そうだよね。
同じ制服の男の子と並んで歩いたら、絶対カップルだよね……考えてみれば簡単だった。
『初めまして。僕も会いたいなって思ったので、勝手ながら来ちゃいました』
口パクと手話、同時進行で話す彼氏さん。
ふたりともニコニコしながら話してる……どこからとなく似てるなあと微笑ましくなる。
『いえいえ、名前は何ですか?』
『すみません、忘れてました。
僕はだいすけです。漢字だと、こう書きます』
スマホを取り出して、電話帳のプロフィールを私に見せてくれた。
時田 大輔さんか……良い名前だな。



