そして、
「……っ」
悠真くんがいるから。
廊下ですれ違う時、悠真くんは笑顔だ。
だけど、それは空元気のように思えてきて。
そして、私の存在に気づくと気まずそうに顔を俯いてしまうんだ。
『……ごめん』
あの雪の日の表情は申し訳なさからくれば納得できるから。
少なからず、悠真くんも反省してるのかな。
でも、女の子と今でも一緒にいることが多いし……本当の悠真くんが分からない。
だけど、私が悠真くんの前からいなくなれば笑顔が戻るかもしれない。
私を裏切ったことに対しての申し訳なさからなら、私が笑って許して、いなくなれば、きっと忘れてくれる。
あの陽だまりみたいな笑顔に戻ってくれる。
きっと悠真くんは、もう私の前だと笑わないだろう。
だから、今まで夢を見せてくれたお返し……というのもなんだけど、私がいなくなれば悠真くんは目を覚ますだろう。
覚ましたら、みんなに陽だまりの笑顔を届けられる。



