理由はたくさんあった。
まず第一に授業についていけなくなった。
特に数学が分からなくて、先生が黒板に書いた数式だけでは「どうしてこうなるの?」と理解できなくなってしまった。
問題集を解いてる時も「この後どうすればいいのか、どうしてこの公式を使うのか分からない」と頭を抱えるだけで、とりあえず答えを写すだけという身にならない勉強。
前回のテストの成績は極端に右肩下がりになってしまったのだ。
第二に、臆病になったこと。
あかりちゃんと教室で話す時の周りの視線が怖くなってしまった。
教室にはたくさんの笑顔がある。
だけど、その笑顔が全部私を嘲笑うものだと思うとどうしても俯いてしまうのだ。
悠真くんに裏切られたこともあって『こいつが悠真のターゲットだった奴』という"可哀想な子"というレッテルを貼られたこともあって、尚更だった。
あかりちゃんは『気にすんな』と言ってはくれたけど、私の心はしんどいままだった。



