「……おはよう」
それでもやっぱり話しかけてくれるのは……思った以上に嬉しくて、私はそれを抑えつつも挨拶した。
やはり私は誰かと仲良くなりたいと思っているのかもしれない。
彼は私の返答に一瞬びっくりしたが、すぐに嬉しそうな顔をした。
……なんでそんな顔をするの?
と不思議に思ったが次の発言でそんなことは吹っ飛んだ。
「あのさ、俺と友達になってほしいんだ」
……え?
「表情は豊かなんだね、すっごい驚いてる」
彼はくくく、と小さく笑う。
……いやいや、なんで?
こんな欠陥品の私と友達……?
私と友達になったら、耳が聴こえないってバレるリスクが高くなる。
もしかしたら、私を陥れようとしているのかもしれない。
友達は欲しいと思っているが、彼のことはまだ心の底から信用できない。