女の子に近づいて、同じように声をかけるが、反応は先程のままだった。


制服着てるから中学生? いや、同い年?



私の声量は分からないけど、そこまで小さくないのは知ってるし。


……もしかして。



『どうしたの?』


「……!」



肩に触れて、手話でそう問いかければ、女の子は目をまん丸にして私を見つめた。



『……手話ができるの?』


『うん、一応はね』



そう、この女の子も私と同じだったんだ。


耳が聞こえない人と会うのは初めてのことで、新鮮な気持ちで女の子を見つめ返した。


制服はこの辺りじゃ見かけない。



「どこの学校なの?」


『……私、喋れないの。
ごめんね、手話でやってもらってもいいかな?』



私の場合は音声言語を取得した後、なんらかの事情により聴力が失った、中途失聴。


彼女は生まれつき、耳が聞こえないようだ。



難聴者の人は補聴器を使いながら口語をするので、脈絡が無くても通じる場合もあるが、完全に失ってるとなると厳しい。