「おはよ、あかりちゃん。
昨日は大丈……って目が腫れてる! 大丈夫?」
「うん、映画で感動しちゃって」
映画だったらどんなに良かったんだろう。
今すぐにでも伝えたい、だけどそれじゃ意味がない。
「いつかその映画のこと、教えて欲しいなあ」
「オッケー! ひよちゃん絶対に泣くから!」
「じゃあ、期待しようかな」
私には何もできない。
──本当に?
何か考えたら方法はあるんじゃないか?
ずっと、そんなことを考えながら毎日を過ごしていった。
そして、時は無情に過ぎていって、夏に差し掛かった。
衣替えも終えて、夏服になった。
「……うわ、あつ」
ジメジメとした日本特有の暑さ。
私はそれが大嫌いだった。



