「そういえばさ」
「何?」
早く切り上げたいと話題を言って欲しいと急かす。
「最近、天津日和とつるんでるんだっけ?
耳が聞こえないってめんどくさくない?
あかり、嫌だったらいつでも私に言っていいんだよ?」
めんどくさいのはお前の方だ、と心で言う。
耳が聞こえないのはめんどくさいなんて思いたくない。
たしかに、こうやって話す方が楽だし便利だけど、手話とか筆談の方がひよちゃんと同じ世界で話せるから。
そして何より、ひよちゃんは私のように普通に話せるようになりたいはずだ。
そんなこと考えていちゃひよちゃんに失礼だし、友達失格だ。
「ひよちゃんはすっごいいい人なんだから。
話しててとっても楽しいから……じゃあ、私用があるから」
「あ、ちょ……」
話題を半ば強引に切り上げて、私は目的を果たすため、ある人を探す。