「ひよちゃん!」


「……」



走る私に追いついたあかりちゃん。


彼女は中学の時は陸上部だったから、足は人一倍速い。


私は肩で息しているのに、あかりちゃんは余裕そうな顔だった。



「あれが宮原悠真?」


「……うん」



悠真くん、女の子と手を繋いでた……。


やっぱり、私のことは遊びで……っ



「まだ、好きなの……?」



二回目はゆっくりと尋ねた。


きっと、躊躇しながらの質問だったんだろう。



どこかで遊びじゃないって期待したからかな。


あの切ない瞳を思い出したからかな。



あれを見て現実をようやく見た気がする。



「……好きだよ。
だけど、私なんかが近づいちゃいけないから」


「……日和」



前は分からないと答えた。


曖昧な返事だった。



現実を見てもなお、好きだと思ってしまった。