人は変わる。


だけど、変わらないところもあって、
だからこそずっと一緒にいられるのかもしれない。


いきなり見た目が変わったり、性格が正反対になっちゃったら、とてもじゃないが一緒にはなりたくないんじゃないかな。



「うわ、もう5時!」



あかりちゃんは店内の時計を見て、びっくりする。


私もあかりちゃんの視線を追ったので、ふたりして急いで帰る準備をした。



だけど、その時。


フワッと、懐かしい匂いが走った。



「……っ」



この匂い……悠真くんの香水の……。


ばっと顔をあげると、悠真くんの女の子と手を繋ぎながら歩く姿が目に入った。



悠真くん……。



そう心で呼ぶと、悠真くんはいきなり振り返って、私と目が合うなり目を見開いた。


あれ、声に出してた……?



「……」



私はとっさに悠真くんから逸らして「ごめん」と呟き、お店から出てしまった。