だから普通の人とコミュニケーションを取れたら、耳が聴こえないことがバレなければ……


私は普通の学校で、聾学校に行かずに生活できるんじゃないか。



ある種の見返しだった。


あの時、私をいじめたことを後悔させたかった。



そうして努力して今になったのだと。


一見、子供じみたふざけた理由に見えるけど、私にとってはちゃんとした理由だ。



一通り話し終えたら、ちょうど学校に着いた。


下校時間まであと数分のため、まだ辛うじて門は開いている。



「あのさ! 私に今後一切関わらないこと、今のも誰にも言わないこと、いい?」


「お、おう……」



彼は私の剣幕に縦を振ったのを確認して、彼を置いていった。


こんなんだったら意地でも逃げればよかった。


どこかに隙は無かったのではないか、と終わった事なのにずっと考えていたのだ。




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