それほど苛立っていたわけだ。
「……」
だけど、そんな声にも反応しないときたら、俺は無視をした、という言葉に疑問を持ってしまった。
こいつ、綺麗にスルーするけど……無視にしてはなんか違うような気がする。
そんなことをぼんやり考えていると、彼女は俺の腕を振り払って、全力疾走で俺から離れていった。
「……!?」
そんなに俺と話したくないのかよ?
他の女は俺と話すとき、大抵頰を赤らめて俺を見上げている。
上目遣いで俺をドキッとさせようという意図が丸見えだ。
今回はいつもの女とは違うようだ。
ほんの少しの興味を抱きながら、急いで彼女の後を追った。



