ただただ胸が締め付けられた。


私は悠真くんから視線を逸らした。



賭けだったら、悠真くんの望むことはひとつだ。


今まで苦しい想いをさせてごめんなさい。



「……素敵な夢をありがとう。
悠真く……宮原くんも少しでも幸せだったら嬉しいな。
今までごめんね──別れよっか」



悠真くんの顔は見なかった。


私はそれだけ告げて、踵を返した。



背筋をピンと伸ばして、意地でしっかりした足取りで歩く。


だけど、目に浮かべるものはどうしても抑えられなかった。



目を擦ろうとした手に雪が乗った。



全部……嘘だった。幻だったんだ。



あーあ。


嫌味なくらい綺麗なホワイトクリスマスだ。



「……っ」



聖なる夜、クリスマス。


私たちは綺麗な雪空の下、別れの道を選んだのだった。



*