「……っ」
「日和!」
私はたまらなくなって、早くこの場から離れたかった。
……でもそうだよね。
そうじゃなきゃ、こんな素敵な人が私を好きになるわけない……って、
こんな素敵な人でさえも"偽物"だったら、私は何を信じればいいんだろう……。
私だけ浮かれて、私だけ馬鹿みたいに幸せだって思って……なんて恥ずかしい奴なんだ。
悠真くんは、そんな私をどう思った?
……私は麗奈ちゃんとか百香ちゃんだけじゃなくて
最愛の悠真くんにまで裏切られてしまったようだ。
「日和!」
腕を掴んだ相手は悠真くんだって分かってた。
あなたの匂いとか、手の感触とか、
嫌になるくらい忘れられないんだから……っ。
「……離して」
悠真くんの手が、肩にかかる。
だけど、私はその手を振り払った。