「───が天津日和だよな。
スッゲー噂に──てる」



ところどころ分からないけど、私が耳が聞こえないという噂の張本人だと言いたいのか。


噂になってることは予想済みだけど、私は耳聞こえないし、そこはどうでもいい。


それよりも、何か私に用があるような言い回しが気になって仕方ない。



「日和、早く行こう」


悠真くんの慌てた声は聞こえることなく、知り合いの口を注目する。



「なあ、知ってる? あ、そうか耳が聞こえないんだっけ?」


「……っ」



しまいには「大丈夫ですかー? 言ってること分かるー?」とバカにされたような口で言われて、腹がたつ以上の感情だけど、グッと抑える。



「話してることなら少しは分かるから。
普通に話して」


「へー、あんたってすげーな」


「それはどうも」