「起立、礼」
「「さようなら」」
「……さようなら」
私はみんなに合わせて、立ち上がって目立たないように小さな声でさよならを呟く。
「冬休みだからってハメ外さないでね〜」
気だるげにそう言う先生の言葉はもちろん聞こえなくて、私は上機嫌な顔をして悠真くんの近くへ向かう。
「日和、行くか」
「うん!」
今日は終業式。
明日から冬休みに入る。
だけど、それよりも重要な出来事がある。
「今日はどんな予定なの?」
「隣町の駅のイルミネーション。
お互い楽しめるだろ?」
「わぁ……! 楽しみ!」
そう、クリスマス。
今日は終業式でもあるけど、クリスマスイブでもあるんだ。
だから、放課後にクリスマスデートをしようって悠真くんが提案してくれたのだ。



